恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
だけど、実際、そんなのはムリっ。

こんなミニスカ履いて人前に出るなんてこと、死んでもあたしにはできるはずないしっ。



結局、おにーちゃんが帰ってくるまで何もすることがなかったあたしは、とりあえずテレビを点けてみるんだけど、土曜日の午後ということもあって、バラエティ番組の再放送とかスポーツ中継しかやっていない。

ヒマでヒマで仕方がない。

退屈で退屈で死にそうだった。


「もぉ、おにーちゃん、早く帰ってこないかなァ……」

そうつぶやいて、窓の外の景色を眺めてみるあたし。


そこに広がるのは緑の山々と、そしてソレとは極めて対照的に近代的なマンションやアパートが点在する景色。

それが、おにーちゃんの部屋の窓から見える景色。

ただ乱暴にザックリと山を切り開いて作っただけの、何の趣きもない、どうってこともない新興住宅地の景色なんだけど、おにーちゃんが毎日こんな景色を見ながら、ココで生活してるんだと思うと、しみじみしてしまうから不思議だ。


< 50 / 263 >

この作品をシェア

pagetop