恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
今から10年くらい前……
当時、幼稚園児だったあたしは、どこに行くのも、そして寝るときも、いつもなかよしのウサちゃんのぬいぐるみといっしょだった。
「うぇ~ん!」
そのウサちゃんを近所のいじめっ子=金太&銀次の光ものブラザーズに取り上げられて、泣きべそをかいてるあたしがいた。
「大丈夫かっ? ピンクっ」
そこに颯爽と現れる赤いスカジャン姿のひとりの男のコ。
「女のコをいじめるヤツは、ボクがゼッタイに許さないっ! 行くぞぉ!」
自分に気合いを入れるように叫ぶと、たったひとりでブラザーズに突っ込んでいった男のコはアッというまに悪いヤツらをやっつけて、見事ウサちゃんを取り戻してくれた。
「あ、ありがとう、おにーちゃん♪」
「ピンク、覚えといてくれ、正義はゼッタイ勝つんだよ」
「カッコイイ♪ あたち、大きくなったら、おにーちゃんのおヨメさんになるぅ♪」
「じゃあ、ボクと約束だ」