恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~


視線を遠くに向けると、ヒーローショーのステージの前では、まだセンタイレッドが大勢のチビッコたち相手にサインと握手をしていて、あたしのほうなんて全然見ていない。


おにーちゃん、助けて!

あたしの視線を感じてよ!


想いを込めて、レッド……つまり、おにーちゃんを一生懸命に見つめるけど、“仮面”を付けたおにーちゃんには、あたしの視線は届かないみたいで、まったく見向きもしない。


よし、こうなったら、仕事の邪魔して悪いけど、大声を上げて、おにーちゃんを呼ぼう。

そうココロに決めたあたし。

「………」

だけど、至近距離で前と後ろから、ふたりの男のコたちにはさまれたせいで、怖くて声が出なくなっていた。


“助けて! おにーちゃん!!”

だからココロの中で、大声で叫ぶしかなかった。



だけど……、

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