恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「エ……?」

一瞬、言ってる意味が分からなかった。

「このままじゃ遅刻すんだろーが」

「自転車で学校まで送ってくれる、ってコト? でも自転車の二人乗りはイケナイことなんじゃ……?」

「エマージェンシー、緊急事態だ。ここはオレも目をつぶる。けどギリギリまで学校に近づいたら降ろすから、お前はそこから走って学校に行け」

「オッケー、分かった♪ でも、もしこれで遅刻したら、あたし承知しないからねっ」

自転車のうしろに横座りで乗るあたし。

でも、おにーちゃんの腰につかまるのは恥ずかしかったからサドルの下側をつかんだ。

「ガッテンでぃ♪ ゼッテェに遅刻なんかさせるもんか、ってんだっ♪♪」

不敵な笑みでそう言って、親指で鼻をピッと弾くおにーちゃん。これはおにーちゃんが得意になってるときの決めポーズだ。

「行くぜっ、振り落とされんなよっ♪」

まるで自分に気合いを入れるみたいにそう言うと、力強く自転車のペダルを漕ぎはじめるおにーちゃん。

「おーっ♪」

あたしもノリノリで勢いよくグーにした右手を突き上げる。



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