恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「ホント、桃ちゃんも気をつけたほうがいいわよぉ♪ 紫苑くんとおしゃべりしただけで妊娠しちゃったコだっているんだからぁ♪」
「もぉ、舞さんまでやめてよぉ~。インフルエンザじゃあるまいし、ボクは空気感銭で女のコをハラませたりはしません、って」
メリーヒルズの光源氏こと紫苑さんは、けっこーいじられキャラみたいだ。
「まぁなぁ、大金持ちのボンボンならオンナにモテモテなのも当然だろうがな」
そう言ってホットドッグにかじりつくおにーちゃん。
「いいなァ、あたしもいいとこのお嬢さまに生まれてたら、今ごろ男のコにモテモテだっただろーなー」
そう言って、あたしもホットドッグにクチをつける。
それにしても、おにーちゃんにそんな大金持ちの知り合いがいたなんて、あたし、全然知らなかった。
あたしは、おにーちゃんの知らなかった一面を垣間見たような気持ちになった。
「けどな、なんか不公平だよな。同じようにこの世に生を受けても、幸せな星のもとに生まれるか、それとも不幸せな星のもとに生まれるかによって、ニンゲンの人生なんざ、まるっきし別モンに変わっちまうんだからな」