恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
そう言って紫苑さんを助けるあたり、まるで怯える子供をかばう母親みたい。
「ウルセー、白鳥はダマってろっ!? そもそもオレがセンタイレッドの役から降ろされたのは、紫苑がオレの右目をダメにしたからじゃねぇかっ!?」
突然のおにーちゃんの大声に、カフェじゅうのお客さんや店員さんたち全員がビックリして“何事か?”とばかりに、あたしらのテーブルのほうに一斉に注目する。
「み、右目をダメにしたって……」
モチロンあたしもビックリした。
紫苑さんがおにーちゃんの右目をダメにしたって、いったいどーいうコト?
こーやって至近距離であらためて見てみても、おにーちゃんの右目はちゃんとパッチリ開いてるし、切り傷とかの外傷もない。
そもそも、やさしそうな紫苑さんが、そんなひどいことするなんて考えられない。
カフェでわきあいあいのランチタイムを過ごすはずだったのに、おにーちゃんのクチから飛び出した衝撃発言のせいで、あたしの脳みそはブルブル振動してしまった――――