恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
Act.7 「兄妹ゲンカ」
日曜日の昼下がり、東京郊外にある丘の上の遊園地“東京メリーヒルズ”のカフェを訪れたあたしは……、

“紫苑がオレの右目をダメにした”

……というおにーちゃんの衝撃発言を受けて、身動きひとつとれなくなっていた。


そしておにーちゃんの右目をダメにした張本人とされた紫苑さんはといえば、おにーちゃんに怒鳴られ泣きそうな顔になっていて、せっかくのイケメンフェイスも台無しになってしまっていた。

「英雄くんっ、それは死んでも言わない約束でしょっ」

まゆを吊り上げて、おにーちゃんをにらみつける白鳥さん。

おにーちゃんの顔が赤鬼なら、白鳥さんの顔は般若(はんにゃ)みたいだった。


「す、すまねぇ……つ、ついクチが滑っちまった」

バツが悪そうにうつむいて、ジュルジュルとシェイクの残りをストローで吸うおにーちゃん。

「ね、ねぇ、紫苑さんが赤井氏の右目をダメにしたって、どーいうこと……?」

恐る恐るあたしは訊いた。

「え? 英雄くん、あのケガのこと、まだ桃ちゃんに話してないの?」
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