恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「ねぇ、お願いっ」

「ムダよ、桃ちゃん。英雄くん、ガンコだから一度言わないって決めたら、たとえタマの入ったピストルをこめかみに突きつけられてもゼッタイ言わないと思う」


そのとき、あたしはこう思った……、

“さすがはおにーちゃんの元カノ。おにーちゃんの性格よく分かってんだね”

……って。


「でも、ここまで話を聞かせといて、そのあとは言わないってんじゃ、桃ちゃんも気になって夜も眠れないんじゃないかな? ね、そうでしょ?」

「あ、ハイ」

「あたし、桃ちゃんに話すけどいいよね?」

「……って、オイ!」

「ま、ダメだと言っても話すけど」

「じゃあ、訊くなよっ」

プイと横を向くおにーちゃん。

「いちお、訊いてみただけよ、一応」

そう言って、ツヤツヤした唇でイチゴシェイクをイッキに飲み干すと、白鳥さんはあたしのほうに向き直って話し始めた。


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