恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
でも言ってることはいっけんカッコよさそうだけど、実は子供っぽいワガママを言ってるだけのような気もする。

「おやっさん、クチでは厳しいこと言ってるけど、去年、胃ガンの除去手術したばっかだし、いつまた転移して再発するか分かんないんだから、元気なうちにお店に戻って、おせんべいの焼き方くらいはちゃんと教えてもらったほうがいいと思うよ」

「余計なお世話だ」

「ちょっと、ちょっと、桃ちゃんは英雄くんのこと心配して言ってんじゃん」

白鳥さん、今のってハッキリいって余計なひとことだよ。

「べ、別にあたし、赤井氏のことなんか……心配してるのはおやっさんのことだよ」


ウソだった。

照れ臭くてウソをついてしまったけど、心配しているのはおやっさんのことだけじゃなかった。


「こないだまでオムツしてたガキが、年上に向かって生意気なこと言うな、ってんだ」


あたし、その言葉にカチンときてしまう。

だけど売り言葉に買い言葉で、あたしまでケンカごしになったりしたら、いよいよ子供みたいだから、逆にあたしは余裕しゃくしゃくな感じでこう言い返した、

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