君のモノ
普段から車の中は
音楽やラジオは
かけていないから静かだった。
真剣に運転していると装いながら
時々チラッと彼女の表情を見ていた。
彼女の表情は、緊張と不安が
入り交じったようだった。
一言も話さずに
15分程で着いた。
「着いた」
その言葉を聞くと、
車から降りていった。
その姿を見てから
俺も車を降りた。
「着いてきて」
キョロキョロしていた彼女に
そう言って、先を歩いた。
逃げることだって
できるはずなのに、
逃げないのは何か考えがあるのか。
よくわからない奴だ…
覚悟を決めているようなのに
時々すごく不安そうな顔をする。