1人のお嬢様の願い
「凛。朝食を持って来てもらえる?」
凛は少し困った顔になって私をみて分かりましたと言って部屋をでていった。
「詩依良お嬢様。また…ですか…?」
旭がため息をついて私を見た。
「また…?もう、いつものことよ。私のことを何も分かってない親と食事をともにしたくない…。」
「しかし、奥様は…」
「お母様は悪くないとはおもっているわ。だから、朝だけなの。」
「意地を張りすぎなんだよ。」
「意地…?意地なんかじゃない。ただ、物あげてるだけで子供が育つと思っている人に会いたくない。」
旭に『意地を張りすぎ』そう言われて、焦った自分がいた。
そんなの…分かってる。
意地を張っていることだって。
でも、そうでもしなきゃ今の私は保てない。
凛が持ってきてくれた、朝食を食べ学校に行く準備をした。
玄関に行くともう旭が執事服じゃなくて高校の制服を着て待っていた。
「詩依良お嬢様。行きますよ。」
「はいはい…。」
私が靴を履くと凛が走ってきて、
「詩依良お嬢様っ!これ、お忘れものです!」
昨日の課題を持ってきた。
「凛、ありがとう。
いってきます。」
「いってらっしゃいませ」
凛にそう返され、旭と一緒に家を出た。