世界は残酷な女神の笑みを理に
「お待たせーい、じゃないわよ。レディを待たせるなんて、失礼よ失礼。」


「悪い悪い。ちょっと一稼ぎしてたからよ。」


頬を膨らませ文句を紡ぐ芹香に勝弥は、軽く謝罪を押し付ける様に紡ぎながら、膨らんだポーチを片手に持ち、中を開いて見せ、口元に微かに歪んだ笑みを浮かべ。
ポーチの中には白銀の光が一面に煌めき、綺麗というよりも不気味な程に禍々しく、歪んだ煌めきを放つ白銀の玉に二人は寒気すら覚えた。


「お…、おい。これって…!!」


「へへ、今だけでも五十一個あるんだ。…もう少しで、百二十万になるんだぜ。」


「そこの問題じゃないわよ!!ねえ、勝弥…。取った人は?」

「死んだよ。」


冷静でいて冷酷に。


その言葉に昼間の陽射が照り付けているにも関わらず、鳥肌が全身を駆け巡り、冷汗が額を滲み出た。
勝弥の瞳は、既に二人の知っている瞳ではなかった。


「なあ…、玉くれよ。」


金に歪み、まだ物足りなさそうに餓えた瞳で二人を見つめた。
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