世界は残酷な女神の笑みを理に
「呑むわ…。」


「んー?何を呑むんだ…?ちゃんと言わねえと、分からねえぜ。」


悔しさが込み上げて来る。


悔しい…。


「せ…芹、香…。」


動く事の出来ない章は、芹香の言葉に情けなさが込み上げ、俯き唇を噛み締めた。


「条件…って…、なんだ?」


「ん?そーいや、蓮は知らなかったな。芹香は俺の女になんだよ。たった今、な。」


条件を問い掛けた蓮は、芹香に視線を向けた。
目線が合った瞬間、弾かれた様に芹香は目線を逸し、足元にと目線を下げる。
合った瞬間に見えた潤んだ瞳は、今まで見た事のない芹香で、苦しげに唇を開こうとする姿に蓮は眉を潜めた。


「…さあー、言って貰おうか?芹香。」


「──…なあ、勝弥。」


「さっきから五月蠅い奴だな。いい加減にしろよ…。れ…!?」


勝弥の視界に入った蓮は、白銀に煌めく三つの玉を右手に並べて、勝弥に向かい差し出していた。


「なあ、これポケットに入ってたんだけどよ。欲しいんだろ?やるよ…。」


「れ、蓮!何してんだッ!」


「駄目…死んじゃうよ!」


「何言ってんだよ。こんな玉で人が死ぬかって。」


「ふ…、ははは!サンキュー、流石は蓮。有り難く受け取っておくぜ。」
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