世界は残酷な女神の笑みを理に
蓮に歩み寄った勝弥は、白銀の玉に映った自身の顔に笑みを浮かべて、蓮の掌から玉を片手で鷲掴みにし、上へと掲げた。


「ふふ…、ふふふ…、じゃあな。お馬鹿な蓮君ー。」


その光景に章と芹香は思わず視線を逸し、勝弥は握り締めた白銀の玉を見上げて高々に笑い声を上げた。
しかし、悠々と笑った勝弥の腹部に勢い良く右手で作られた拳がのめり込んだ。


「──…うッ!な…。」


「毎回言ってんだろ…。爪が甘いって、よ。」


軽い酸欠状態になった勝弥の両肩を掴み、再度腹部に膝蹴りを放ち、蓮は静かに言葉を紡いだ。


「…れ、蓮。な、なんで…?」


蓮を見つめる芹香と章に、蓮はポケットから三つの玉を取り出して、二人に見せた。
その場で倒れ込んだ勝弥の口元に怒りと悔しさが滲む。


「…それ…何で…。」


「ああ…、勝弥に渡したのは、杉村から取った玉だ。」


勝弥を責める事は本当は出来ないだろう。


俺も、同じだから。


蓮は脳裏に想いを過ぎらせながら、勝弥を見下ろした。
しかし、勝弥は反撃の期とばかりにサバイバルナイフを構え、起き上がりと同時に飛び掛かった。


──…ドサッ
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