Darkness Butterfly
あたしは、鮮やかな笑みをうかべて、言った。
「二年前、あんたらを生かしてあげたのは。どこの誰だったっけね?」
こいつらは。
茶色い髪は、“龍の牙”を率いていた良壱(リョウイチ)。
黒髪の方は“虎の爪”を率いていた夏弥(ナツヤ)。
そして。
二つのグループをのみこんだのが、“闇の蝶”率いていたあたしの那瑠(ナル)。
「生かしただと?俺らを街から追い出したのはお前だろ。」
あたしと良壱は落ち着きを払っている。
こんな毒矢とばしにいちいち熱なんていれらんないから。
「今、生きてるだけ。感謝しなよ。」
「あの場で殺せば良かっただろ?それが、俺らの掟なはずなのに。」
「殺せ?」
あたしは空いている左手を強く握る。
三人しかいない静かな部屋にあたしの声が、響いた。