Darkness Butterfly

全然おろしてないから、千円札がない。

「…家。」

「あ?」

あたしはバイクを降りてヘルメットを良壱に差し出す。

「乗せてく。」

「いいよ、歩いていけるから。」

「おい。」

良壱の言葉を無視して、後ずさった。

「ちゃんと帰るから大丈夫!!倉庫の場所もわかるから。」

無理な笑顔を作った。

そして、あの静寂で押し潰されそうな場所へ向かった。
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