Darkness Butterfly

「わぉ。」

とりあえず、驚いてみたりする。

でもその嘘っぽい驚きは良壱が煙草に火を点ける音と共に消えていく。

なんで、ここに?

なんて聞ける雰囲気ではない事なんて、よく分かってる。

「あのさ。」

あたしは先に言う。

「あ゙ぁ?」

いつもの「あ?」がパワーアップしてる。

それに怯む事なく、あたしは言う。

「あたし、良壱の事が好き。」

あたしの言葉に良壱は呆気にとられ、その拍子に吸ったばかりの煙草を地面に落とす。

「はぁ?」

やっぱり、“なんで、ここにいるの?”と聞けば良かった。

なんて思った。

そして、後の祭りってこの事を言うんだと知った。
< 117 / 300 >

この作品をシェア

pagetop