Darkness Butterfly

バイクの後ろに乗って、着いたのは倉庫の近くの居酒屋。

長すぎる袖口から少し手を出す。

「来い。」

バイクを止めて、あたしの手を良壱が取った。

手を繋ぐ度に少し思い出してしまう。

あの南の女がいるんじゃないか、って。

「鈴、いるの?」

「いてほしいのか?」

呆れた声で返され、いないんだって分かる。

そういえば、謝っていないな。

そしてあれ以来、会っていない。

「あ、来た来た。」

アキヒトさんと夏弥が座敷に胡座をかいて座っていた。

夏弥はあたし達を見ると、アキヒトさんの隣に移動する。


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