Darkness Butterfly

わからない。

わからないって、深い闇に似てるんだ。

あたしはその闇に一度、落ちた。

落ちて、落ちて…。

周りの音がしなくなった所でやっと、自分が独りきりだとわかって…。





目をあけた。

首の周りがぐっしょりと濡れている。

深呼吸をして、息を整えた。

あたしは良壱を越して、外に出ようと思った。

と、思ってたけど。

ぐいっと襟首を後ろから掴まれた。

「ゔっ。」

小さい呻き声を出す。

「…どこに行くんだよ?」

良壱の低い声が聞こえた。


「やっぱり…あたし。」

「変な夢でもみたか?」


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