Darkness Butterfly
“アカリ”がギョッとあたしを見て、
「何でいちいちこっち見んの?」
と言う。
その時だった。
遠くからバイクの音がした。
それも一台や二台じゃないような、集団の音。
あたしは立ち上がった。
「昔の御主人が、質問には目見て答えろって言ってたから。」
嘲笑った。
少しだけ早い登場だけれど。
「ハメるため、かな。」
頭は悪いけど、ずる賢さは誰にも劣るとは思わない。
「…はぁ?」
意味がわからない、というように顔を強ばらせて“アカリ”は言う。
「だから、今からサヨナラってこと。」
あたしは、この倉庫の出口に歩き出した。