Darkness Butterfly

“アカリ”がギョッとあたしを見て、

「何でいちいちこっち見んの?」

と言う。

その時だった。

遠くからバイクの音がした。

それも一台や二台じゃないような、集団の音。

あたしは立ち上がった。

「昔の御主人が、質問には目見て答えろって言ってたから。」

嘲笑った。

少しだけ早い登場だけれど。

「ハメるため、かな。」

頭は悪いけど、ずる賢さは誰にも劣るとは思わない。

「…はぁ?」

意味がわからない、というように顔を強ばらせて“アカリ”は言う。

「だから、今からサヨナラってこと。」

あたしは、この倉庫の出口に歩き出した。



< 190 / 300 >

この作品をシェア

pagetop