Darkness Butterfly
このまま、深い闇に落ちてしまおうか。
そうしたら、もう楽になれるのかな。
あたしはうずくまったまま、意識を手放しそうになる。
“死んだら駄目”
この声…どこから聞こえるんだろう。
なんでいつも、あたしが考えてる事と違う事を言うんだろう?
「……楽になったらいけない?」
自問自答だけど、その声から返事が返ってくるのを待つ。
“当たり前でしょう?”
そんな自信満々な声で、言わないでよ。
まるで…あたしみたいだから。
フッと笑って、目を閉じた。
「…那瑠ちゃん!」
聞き覚えのある声。
あたし、那瑠ちゃんって呼ばれるの嫌って言ったのに。
ねぇ、雨水?
「だ、どうしよう。血、血が…。あ、良壱さんに電話?でも番号…。」
焦ったような雨水の声が近くで聞こえた。