Darkness Butterfly
少しの間が空いて、車内が気まずい空気が流れた。
あたしは、起きてやろうかと思った。
でもそれより先に、アキヒトさんが
「着きました。」
と言った。
もしかしたら、アキヒトさんはあたしが起きてるのを知ってたのかもしれない。
だから、何も言わなかったのかも。
良壱はあたしを起こして、あたしは起こされたフリをして。
この前の所ではないけれど、居酒屋に入った。
「ごめんね、那瑠。こういう所で。」
夏弥はあたしの正面に座って言う。
「ううん、平気。」
平気というより、気にしていない。