Darkness Butterfly
遡る先に
お座敷に座ると、あたし以外は話し出した。
あたしは、いつものように壁に寄りかかってコップの水滴で遊んでいた。
「決まったか?」
しばらくすると良壱が言う。
「酎ハイ。」
我が儘でもしてやろう、と言ってやった。
良壱は少し眉を寄せて、無言の文句を言い、酎ハイを頼んだ。
あっさりと我が儘が通って怖い。
何だ、急に。
あたしを油断させて、もしかして…?
「…刺す気?」
思ったことがつい口に出てしまった。
「あ?」
良壱は不機嫌極まりない声を出し、夏弥とアキヒトさんは笑いをこらえていた。