Darkness Butterfly

良壱の心臓の音が心地よかった。

このままなら、眠れる気がした。

…違う違う。

あたしは何を言ったらいいのか、少し混乱した。

そうしたら、良壱が口を開いた。

「…人の過去を聞くってのは、それなりの覚悟が必要なんだ。」

あたしには、良壱の言ってる意味がわかった。

「聞いた以上、そいつの過去の重さを背負わないといけない。

“逃げ”は通用しない。」

良壱はあたしの家族の話を、あたしの過去を受け止めようとしてくれている。

「…お父さんがね、何年か前に亡くなったの。」


< 238 / 300 >

この作品をシェア

pagetop