Darkness Butterfly
全員ではなかった。
あたしは向けなかった。
乱闘が起こる『かも』なんかではなかった。
起こる予定なんだ。
「…異議のある奴、いるか?」
良壱が静かに言う。
異議があっても言える雰囲気ではない。
総長が言うんだ。
あたしでさえ、逆らう権利は持っていない。
「いいか、那瑠。」
急に振られた話に、あたしは良壱を見る。
何がいいのか。
ってゆーか、こいつ…
「あたしに主導権があるっていうの?」
言った。
「あぁ。」
平然と答える。
平然を装っていたのは、あたしのはずなのに。