Darkness Butterfly
「あるよ。」
でも、そんな感情に捕らわれてはいけない。
あたしは自分の道を歩いてきたから。
「そっか…。
昔の海のこと、知ってる?」
雨水は軽蔑した目で、あたしを見なかった。
「二年前くらいなら、知ってるよ。」
女の子って、彼氏の過去とか気にする。
「暴走狂。」
あたしの声に、雨水が呆れた笑いを出す。
「聞きたい?」
また、そんな話だけど。
雨水は頷いた。
「その時の海は、喧嘩ばっかりしてて…。
あたしのテリトリーで喧嘩起こしたりしてた。」
「…海を助けてくれたのって、那瑠ちゃんなんでしょう?」