Darkness Butterfly
良壱は静かに言った。
「“闇の蝶”って…、二年前の…。」
石塚は眉を寄せた。
「そうだよ。背中、折れてるかもしれない。」
あたしの肩をつかんで、前に押した。
「え、こども?」
石塚はケバい顔を驚かせた。
「俺より一つ下。あっちで待ってる。」
良壱は言って、背を向けて行ってしまった。
「那瑠っていうの?」
石塚は椅子に座って、足を組んだ。
あたしは答えなかった。
「仲直りしましょうよ。那瑠。」
睨んだ。
あたしは動かずに、黙っている。
「私、石塚麻衣子。23の彼氏持ちよ。」
笑顔で言った。
「あなたは?自己紹介。」
あたしはその場に座りこんだ。
「名前と歳と彼氏ね。」
変な人。
こっちが意地を張ってるみたい。
「二ノ宮那瑠。16。」
「彼氏は?」
「いらない。」
「意味不明。」
笑ってた。