Darkness Butterfly
夜
背中に、鈍い痛みが走った。
あたしは今立ち上がって蹴っている相手を殺してしまう事もできるのだ、と自分に言い聞かせた。
でも、あたしは、やらない。
「こいつ、つまんねーな。ヤキいれるか。」
全然苦しまないあたしを見かねて、1人の低い声は言った。
うそ…。
最悪。
「腕もて。ちゃんと固定してろ。」
ヤキは嫌いだ。
火傷は残るから。
背中の痣とか、擦り傷、切り傷は治るからいい。
1人の男が煙草を腕に近づけた。
頭を真っ白にしてしまおう。
何も感じないようにすればいい。