Darkness Butterfly

昔の自分が

“殺れ”

と呟く。

あたしはもう人に危害を加えたりしない。

そう決めたんだ。

返事をしないでいると、緊張していると思われたのか

「そんなに固くなんなって。遊ぼ。」

あたしは猫を下ろした。

茶トラ猫は、スタスタとどっかに消えて行った。

「あたし、授業受けに行かないと…。」

「そう言わずに。」

「手、離せよ。」

こいつからではない、どこかから発された声。

「うわ、桐生…。」

そいつは素早く逃げた。

「那瑠、大丈夫だった?」

夏弥は聞く。

「ん。」

短く答える。






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