Darkness Butterfly
「…あぁ。“紅桜”のとこの女。」
あたしは体制を立て直して、納得した。
散々、意味なしの脅しを闇の蝶にふっかけてきた奴だ。
…と言っても、あたしは殆ど覚えていなく、亜美もあたしを見てもわかっていない様子だから、忘れる事にした。
「思い出した?」
夏弥は隣で静かな声で言った。
見て、うん、と微笑んでおいた。
「てめぇ、誰に言ってんのかわかってんのか?闇の蝶のとこの頭だぞ。」
良壱が低い声をだした。
ピキ、と空気が張り詰めた。
レディースの奴らが、少し構えの姿勢にはいる。
「でも潰れたって。」
亜美が戸惑いを隠せない顔で言う。
「潰れたのか?」
良壱は伝言ゲームのようにあたしに言う。
微笑んで答える。
どっちと言うのが、億劫だったから。
「だとよ。」
良壱もそれが答えだ、と言わんばかり。