Darkness Butterfly

「…なし。」

あたしは外したネックレスを握って、良壱の隣をすり抜けた。

裸足で歩く廊下に、ペタペタという足音が響いた。

良壱の家に来てから、ちゃんと寝れるようになった。

良かったと思う反面に、安心や安らぎが怖くなった。

時々、静かに寝てると急に不安になって起きる。

ベッドに潜り込んだ。

黒いシーツに挟まっても冷たかった。

握っていたネックレスを見る。

「良壱と…彼女。」

あぁ、そうか。

彼女がいるのに、あたしがここにいても平気なのか?

余計な事を考えるから、深く眠った。

隣に暖かさが来ても、もう違和感は…あるけど。

良壱が入ってきたら、目が覚めた。

「…うゎ。」

静かな声が聞こえた。

あたしは夢現(ユメウツツ)の中で睨んだ。





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