隣の北村さん。
道具箱を持った武田さんは部屋のドアを開けるなり、ため息。
『あららぁ~・・・こりゃひどいわ』
大家さんも開いた口がふさがらない状態。
『ばぁーさん、コレ直すの今日1日かかるぜ』
『お前さん仕事は?』
『運が良いな、今日は休みだ』
『家賃2か月分でどうだい?』
『のった。』
二人は俺たちの事なんてかまわないといったように取引をしていた。
いったい武田さんとは何者なのだろうか・・・・
『あ、あの、大家さん、私・・・私ホントに・・・』
俺の後ろに隠れていた北村さんが、泣きながら
鼻の詰まった声で大家さんに話しかけた。
そりゃ引っ越してしょっぱなこんなことになったら誰だってびっくりするよなぁ・・・
『大家さん、北村さんはわざとじゃないですよ・・・』
俺もたまらずフォローしようと間に入った。
が、大家さんの返答に俺たちは驚く。
『北村さんのせいじゃないわよ。この部屋もともとこういう部屋だから。』
『『え?』』
俺と北村さんの声が重なる。
『この部屋ね・・・呪われてるからねぇ・・・』
その場の空気が凍る。