恋もよう
prologue

「ヒカリ!」

「あ…、ひなちゃん!ひめちゃん!」


ヒカリ、と呼ばれた女子高生は振り向くと、眩いばかりの笑顔を浮かべて背後から近寄ってくる友人の名を呼んで、座っていたイスから立ち上がった。
近付いた三人の距離に、周囲の視線が自然と集まる。

それもそのはず、三人はこの辺りでは名前を知らない人の方が少ないからだ。


「ヒカリ、相変わらずちっこくて可愛いねぇ!」

「むぅっ!ちょっとは伸びたもん!」

「何センチ?あ、何ミリ?」

「うっ…0.3ミリ…。」

悔しそうに小さく応えるヒカリに、二人の友人は素直!と笑う。
そんな二人につられるように、ヒカリにも笑顔が戻り、二人を見上げた。
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