恋もよう

──お前さ、何でそんな冷めてんの?悟り開いたじいさんかよ。


一年の時はクラスも違ったから、その存在すら知らなかった相手。
そんな相手に初対面でズバリ言われた台詞は怒りを通り越して、唖然としてしまった。

ポカンとする俺に、そんな顔も出来るんじゃん!と笑う遼。
裏表のない笑顔に、自然と笑った経験はあれが初めて。
それからは、遼と何となく一緒にいる時間が増えて、面倒とつまらなさの対象になった女達を切った。


そんな俺と遼にちょっとした変化が訪れたのは、5月に入ってすぐぐらいだった。

一年生に小さくて可愛い女子がいる、と男達の間で噂が広がり出した頃。

普段校舎も違うから会うこともないのだが、ここの高校の変わった所で、1・2年の合同体育がある時だ。

2年A組である自分達と、『噂の女子』のいる1年A組の合同体育が初めて行われたあの日に、俺は初めて『光』と出逢い、そして『光』が、遼の『彼女』だと知ったんだ。
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