恋もよう
……先輩
(…あ、またあの匂い…)
…水神先輩っ
(…声も、好みなんだよな、きっと。)
「水神先輩!!」
「ぅわっ!?」
「あ…ごめんなさい。だって全然起きてくれないから…。」
「あ…いや、悪い。」
ドクドクと早鐘を打つ心臓を感じながら、斜め上からバツが悪そうに見下ろしてくるのは、羽月光だ。
遼との事を思い出している間に眠ってしまったらしく、寝顔を見られていたことにどことなく気恥ずかしさを感じて視線を逸らしてしまう。
そこで気付いた。
既に辺りは夕焼けの色に染まっていて、太陽が傾いた空は茜から宵闇色のグラデーション。
どうやら結構な時間眠ってしまっていたらしい。