恋もよう
「…悪い。」
「え?」
「結構寝てたんだな、俺。帰るの遅くなった。」
「いいですよ〜。課題も出来たし、それに水神先輩の寝顔見られる機会なんてそうそうないですからっ。」
謝罪する蓮に、そう言って笑う光に何だそれ、と返しながら席を立つ。
クスクスと笑ったまま、蓮の横の机で広げていたプリントや筆記用具を鞄に片付けていく光を、じっと見つめる蓮。
光の白い肌が、ほんのり朱く染まっている気がするのは夕焼けのせいだろうか。
「……帰るか。」
「はいっ。」
…眠りから醒める直前、自分が考えていたことがまだ頭の片隅に残っている。
だから都合よく、そう見えたのだと思うことにした。
──まさか、だ。
彼女が、
自分に好意を持ってる
なんてこと、有り得ないのだから。