恋もよう
「……いいのか?待ってなくて。」
自分と帰るより、『彼氏』のがいいだろうと思って掛けた声は、キョトンとした表情で受け止められ…
「…?、はい。」
コクンと頷かれてしまう。
あまりにもあっさりとした返しに、それ以上は続けられず、校門に向かって歩き始める。
「何で通ってんだ?」
「えっと、電車と歩き…です。」
「…家どこ?」
「あ、駅まででいいです。」
「…遼に頼まれてる。」
言葉少なに交わされる会話。
一歩後ろを歩く光からの視線を感じながら次の言葉を待つと、隣町の町名と駅からは徒歩で10分くらいですと遠慮がちに響いてきた声。
気にすることねぇのに、と思ってもそこまでは口には出来ない俺。