恋もよう
『リョーくん』

親しげに、嬉しそうに呼んだ名前に、胸の奥がちりっとした痛みを感じた気がしたが、それを表面には出さない。
何が?と先を促すと、あのね?と笑みを浮かべたまま話す光。


「『レンは聞いてんのか聞いてねーのかわかんねーほど反応薄い!けど、案外聞いてんだなぁって顔でわかる』って。」

「……遼が?」

「ハイ!今も時々だけど笑ってくれたから、聞いてくれてるんだなぁって。」

「…そうか。」


あまり表情の出ない俺の、わずかな表情の変化を感じ取る遼と光。


どこか似た二人が、『彼氏彼女』でいるのは、当然だとも思える。
そこに辿り着いた思考に、自分自身が凹んでいるのがわかって、もう何も言えなくなる。

その時、電車が到着するアナウンス響いた。
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