らぶりぃBOY




「ありす、一緒に帰ろう?


昨日は先帰っちゃうからさ。

寂しかったんだよ?」



トレンドマークの王子スマイルを浮かべながら、教室と廊下を繋ぐ出窓から私に手を振ってくる。


それを見た周囲の女の子達は、バタバタと気を失ってしまうのだ。

それほどに、王子スマイルにはキラキラしている。




だから、この笑顔が私だけに向けられているだなんて、鼻血もの。


眩しくて、迂闊に近寄れない。





が!





近寄れない理由の半分は違うこと。



王子が猫被りだと知ってしまったから。



昨日の乱暴な言葉遣いと、つり上がった目。


今目の前にいる人と同一人物だとは到底思えない。



もしかしたら、昨日のは何かの間違いだったのかもしれない。


お腹が痛かったとか、変なもの食べたとか!




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