らぶりぃBOY
*3*
バイト先まで、何を話したかよく覚えてない。
全ての意識は右手に注がれていた。
だけど緊張している割には王子との会話は楽しくて、少しずつだけど自然に笑えるようになってきた。
相変わらず王子の笑顔は、作られたようなキラキラさだったけれども。
『ここ…です。』
気付いたらレストランの前。
何度見ても素敵なお店。
そして横には素敵な王子様。
これが本当の、好き合って付き合った彼氏なら、何も言うことないのに。
いつかは本物の彼と…
「雰囲気の良さそうなお店だね?」
『でしょ?!』
王子も気に入ってくれたみたい!
変なバイト先じゃなくて良かったよ…
ここだったら、王子に話しても恥ずかしくない。
王子にファミレスやファーストフードのお店は、似合わない気がするから。
仮の彼女としてもね…そこは気を付けなくちゃ。
早くも、"王子の彼女"という変なプレッシャーが重く感じていた。
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