らぶりぃBOY




その人は私に向き合うと、ニコリと営業用の笑顔を見せた。


「鈴木 百合(スズキユリ)って言います。

今日から頑張ろうね!」



親しみやすい笑顔を浮かべていると、ほっぺたに出来るえくぼが目立つ。

年齢は知らないけど、年下とも思えるくらい、幼さの抜けない可愛らしい顔をしている。



『お願いします…』


今度は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、お辞儀を返した。




「じゃ、お客さんが少ないうちにホール出てみよっか?」

百合サンの後ろをついて、綺麗に整頓された厨房の中を抜ける。


『いっ、いきなり大丈夫ですか?』



挨拶とか、お料理の出し方とか、何も知らないよ?



「今の時間はカフェだし、難しいことはいらないよ。


今日は立ってるだけでぃぃから。

そんなに緊張しないで?」


何とも簡単そうに言い切る百合サン。



そんなこと言ったってぇ〜?!



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