19歳の花嫁


「い…いやだ…
かっ…帰ろ!?おばあちゃん!」


「どうしてだい?
せっかく来たのに。
行こう。」


「ここはいけないよ!
近寄ったら…いけないよ!」


「行こうと言ってるだろう?」


そう言っておばあちゃんはグイッと私の腕を引っ張った。


「い…いやっ!
痛いよ…おばあちゃん、離して!!」


『サッキカラギャアギャアトウルサイヤツダナァ……』


「……ぇ?」


私には悪寒とも言えない、
とても危険な感じが背中を伝うのを感じた。


「だ…だれっ!?」


きゅうっと私の手首を握っているおばあちゃんの手が、
またさらに、きつくなったような気がした。


『オマエノウシロニイルヨ……』


バッと私は後ろを振り向いた。

そこには、おばあちゃんの顔ではなく…

おばあちゃんの顔が歪んだ顔があった。


「……ヒッ」


『気ニ入ッタ…
オ前ヲワシノ花嫁ニシテヤロウ。』


「…花嫁…?」


『イマスグニ。トハ言ワン。
オ前ガ19歳ニナルマデ待ッテヤロウ。』


「や…やだ!!
なんでオバケなんかのお嫁さんにならなきゃいけないのっ!?」


『ダカラ人ノ話ヲ聞ケ。
オ前ガ19歳ノ誕生日ニマタ、コノ神社ニ来イ。
シカシ。
ソノ時ハ自分ガ一番愛スル異性ノ者ト一緒ニナ。』


「…愛する…者…?」


『ソウダ。
モシソノ時、来ナカッタリ愛スル者ガイナカッタトシタラ……
オ前ヲワシノ嫁トスル。
分カッタナ?』


「ぇ…ちょっ…」


私が待って。と言いかけた時にはすでにおばあちゃんの顔は元に戻っていた。


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