学園(序)
「この人はちょっと急用が出来たんだ」

「あ?勝手に割り込んできて、何言ってんの?」

この人たち目がマジですよ。

刃物まで出しちゃって、殺されるんじゃないかな?

「『空』二本。それで許してやるアル」

「マジ?」

「冗談だと思うアルか?」

口の端が釣りあがってるところ、冗談っぽいけど本気だろう。

「わかった。吟ネエが付いていかないなら、二本でもいい」

「くっく、交渉成立アル」

これで、ヤンキーとの体の交わりあいはなくなった。

自業自得とはいえ、酷い話だ。

今月、好きなものは何も買えなくなってしまうなんてな。

「さあ、いざ行かん!天竺アル!」

吟ネエがヤンキーから遠ざかろうとしたが、行き道は阻まれている。

「おいおい、好きなだけ期待さして、このままっていうのはないよなあ?」

「一緒においしい思いしようや」

ヤンキーの数はおよそ3人。

どの人も武器を持っているけど、足りないだろうな。

吟ネエを腕づくで連れて行くのなら、50はいるかな。

「性欲が殺がれたアル。早く酒が飲みたいからそこをどくアル」

「じゃあ、ちょっと痛い思いしてもら」

不意を付いて、ヤンキー1の顔面に吟ネエの拳がめり込んでいる。

クリティカルヒットらしく、一撃で沈んだ。

二人も蹴りやら肘鉄やらで、グロッキー状態へと陥れられた。

「さあ、いざ行かん!桃源郷アル!」

「お!おい、ちゃんと行くから!」

横になってるヤンキーを尻目に、吟ネエに引っ張られながら酒屋へと連れて行かれた。
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