学園(序)
ある日、気持ちを切り替えるために身の回りの片付けを始めた。

だが、破壊王もとい吟ネエが何の気まぐれかわからないけど、ドアを蹴って入ってくる。

吟ネエは酒があるアルか?と元気のある声で聞いてきた。

正直、ぶっ飛んでるなと思ってしまう。

高校生の部屋に酒なんかあるわけないだろ。

何かおかしくなった。

この家で初めて話すことが酒はあるかかよ。

今までは吟ネエは男と一緒にいることがほとんどだったので、話さなかった。

会わなかったということのほうが多かったかな。

昼間は学校に行ってたし、夜も遅かった。

でも、嬉しくなったのは覚えている。

何か失敗をして自棄酒かなと思ったけど、そうじゃなかったみたいだ。

ただ単に、酒が呑みたかっただけらしい。

きっかけはそれで、少しずつ吟ネエと話をし始める。

夜遅い日も台所で待って、冷めたご飯を一緒に食べながら話したりもした。

吟ネエの交友関係のことも聞いたりして、友達のような関係になったんだ。

もっと話したくて、学校にも行き始めた。

そこで、龍先輩と出会うことになって、吟ネエの新たな局面を見る事も出来たんだ。

この一年間、色々とあったよな。

回想はほどほどにして、俺は部屋の扉を開けた。

「おいおい、ゴミぐらい自分で出せよ」

部屋の中にはボーリングのピンのように酒瓶が並べられていた。

犯人は一人しかいない。

もちろん、俺じゃないぞ。

一階までもっていくのが面倒だから、俺の部屋の中に移動させたのだろう。
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