学園(序)
「女の体が怖いアルか?それとも、EDだからアルか?」

「両方ちげえよ」

嫌ってくらい滾っとるっつうの。

吟ネエは俺と行きずりをしてもいいくらいは認めてくれているらしい。

「それより、酒瓶はちゃんと片せよ。俺の部屋に置くんじゃなくてさ」

「ごまかすなアル」

「ごまかしてないさ」

どっちにしろ、今のままでは吟ネエのためにはならない。

「お前から見て、私には魅力が感じられなかったアルか?」

「魅力だらけだ」

「じゃあ、何で手を止めたアル?」

「止めなくても良かったけど、でも、そのままいくのは違うような気がした」

「臆病な奴アル」

「一方通行の交わりなんて、虚しいだけだよ」

気持ちがなくて割り切りでやってしまうのは他の奴らと同じで、二度目はないと思う。

満足がいかないっていうのも、体だけだからかもしれない。

体だけで満足がいくっていう人もいるかもしれない。

でも、吟ネエの場合はそうじゃないと思う。

一度も、気持ちが通じた事がないんじゃないか?

今の吟ネエとやっても自慰行為と同じじゃねえかよ。

「俺だってお互いを知らないままの性行為は出来る。でも、吟ネエとだけはしたくない」

童貞の俺からすれば、気持ちの通った性行為と何もない性行為の違いがわからない。

見知らぬ二人が、同じ部屋にいても居心地が悪くて窮屈なだけだろう。

でも、少しでもお互いを知っているのなら、それは違ってくると思うんだ。

あくまで、予想でしかないわけだがな。

「丞は私のことは嫌いアルか?」

「まさか。嫌いなら部屋に消臭剤を置いたりしないよ」

「嫌がらせだったんじゃないアルか?」

やっぱり、少し嫌だったのかもしれないな。
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