学園(序)
情事を行っていた男は驚いたようで、ズボンを穿いて服の乱れを直し、体育倉庫から出て行く。

憧れの人と寝ていたからといって、恨みはない。

何故なら、憧れの人は色んな男と寝ているビッチだからだ。

その光景を何度見たことか解らない。

でも、貞操観念がなく、どんな愚行を行おうと憧れの人は憧れの人で、位置は変わらない。

「私の楽しい一時を邪魔して何が楽しいアルか?」

裸のまま胡坐をかくが、色んな部分が丸見えである。

「出来るなら別の楽しいことを見つけろよ。吟ネエ」

「得意の押し付けアルか?そんなことだからモテないアル」

「誰とでも寝るなんて、自分を安売りしているようなもんだ」

「解ってないアルな。訓練することで品を高めてるアルよ」

「ありえねえ」

反省の色はない。

自分が間違ったことをしていないと、確固たる自信が見える。

「とりあえず、服着ろよ」

落ちている学園の制服を吟ネエに投げると、それを素早く着込む。

憧れの人、葉桜吟は学園の問題児で俺の従姉でもある。

御堂赤坂学園の三年生で、三年間で作った問題は山ほどだ。

今のように色んな男と寝る、水筒の中に酒を入れて学園に持ち込むなど、他にもあるが省く。

ああ、一番の問題を忘れていた。

どんな相手でも喧嘩をする、だ。

男の俺でも勝つことが出来ないほど強く、他校の不良などものしたという噂も聞いた。

だからといって、むやみやたらに喧嘩を吹っかけてるわけでもない。

本当に気に入らないことがある時だけ、鉄槌を下す。
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