学園(序)
6限目が始まった。

今日一日で最後の授業。

XとかYだとか、黒板には数式が並ぶ。

二時間連続で怒られているので、最後ぐらいは雑念を捨てよう。

教師の話を聞いて、問題を解いていく。

これといってついていけてないわけではないので、サラサラとノートに答えを書いていく。

こんな風に早く答えが出てくれるなら楽だけど、現実はそうもいかない。

数学って、不思議なものだ。

何通りもの選択があるのにも関わらず、答えは一つなんだもんな。

大体は同じやり方なんだけど、たまに変わった解き方をするやつも出て来る。

その変わったやり方をする奴が、一握りの天才なんだろうな。

新たな発見をするわけだからな。

ま、凡人は凡人らしく、地道にやっていこう。

大きな発見をしなくとも、小さな発見ぐらいは出来るんだ。

教科書を見、話を聞き、それの繰り返しが続いた。

最後は怒られることはなかった。

本来なら、これが普通なんだろうな。

色んな教師に目を付けられているから、普通がどんなものか忘れがちになっているぜ。

「ふぁあ」

あくびとともにチャイムが鳴った。

後はHRを過ごして終わりだ。

教科書を鞄に収めながら、思い出す。

今日、吟ネエは学校に来なかった。

やっぱり街に行ってるのかな。

でも、家に帰ったらいるんだから、今はそこまで心配することはないかな。

どうしようか。

先輩に会うために、茶道部に行くか。

吟ネエがどうしてるか探るために、早めに家に帰るか。
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