学園(序)
「よし、龍先輩に会いに行こう」

「HRをちゃっちゃと終わらせるぜ!」

担任が勢いよく教室の扉を開けて入ってくる。

名を高井 恭也。

いつもぜ口調で、元気のある担任だ。

噂じゃ、ツンデレロリな奥さんがいるとか何とか。

「おー、明日は休みだからって、腑抜けるんじゃねえぜ」

「高井先生が奥さんの尻に敷かれて腑抜けるんじゃないですかー?」

「尻に敷かれるのは愛のある証拠!それで腑抜けるのは許されるんだぜ!」

何だか、とても羨ましいというか暑苦しいというか鬱陶しいというか。

「んなことより、葉桜!」

「え、あ、へい」

いきなり呼ばれて驚いてしまう。

「お前なあ、他の先生方に迷惑かけるんじゃねえぜ」

「真面目に授業受けてましたよ」

「お前の口から真面目なんて言葉がでてくるたあな」

「真面目だけが取り得です、はい」

「かー!つまんねえ生き方を選択しようとしてるな!」

カキ氷を食った後のように、頭を抑えている。

何かと熱い先生だ。

「いいか!つまんねえ嘘はつくんじゃねえ!そんなことしてると、今からつまんねえ人間になるぜ!」

「先生は、奥さんにつまんない嘘はつかないんですか?」

「つくわきゃねえだろ!例え軽い嘘でもローブローにローキック、果てはジャイアントスイングで瞬殺だぜ!」

高井教師の家も色々と大変だな。

「まあ、俺の話はさておきだ、葉桜!女にだけは見え透いた嘘をつくんじゃねえ!」

「俺だってわかってますよ」

でも、嘘も方便という言葉がある。

他にも優しい嘘という言葉もある。

生きていく上で嘘は絶対不必要というわけにはいかない。

迷惑をかけるなという話から、女に嘘をつくなという話に摩り替わっているが、気にしないでおくか。
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