学園(序)
「先輩、明日は何か用事とかありますかね?」

「明日か」

先ほどのことが気にかかっているのか、考えている。

考えるということは、用事はないに等しいわけだ。

「休みの日はリフレッシュに限ります!俺は先輩とどこかにいけたら、リフレッシュできると思うなあ」

ここは突っ張り突っ張りで、押すしかないな。

「人間五十年 化天の内をくらぶれば 夢幻のごとくなりですよ」

今日、当てられた部分を思い出して、さっそく使ってみる。

「そなたの目的は移ろいやすいものじゃと思うぞ」

「今は身動き一つしませんよ。それで、どうですかね?」

「むー」

「深く考えなくていいですよ。友達としてでも、一緒にいきましょうよ」

「友達、のう」

そして、何かを閃いたかのごとく、眉を動かした。

「そうじゃ、皆で行くとしよう」

「皆?」

「吟や笹原を誘って行こう。多分、乾もついてくるかもしれぬがな」

二人で行く予定が、こうなってしまうとはな。

友達と言ったのは俺だし、頷くしかない。

まあ、目的から言えば、皆でもいいだろう。

「不服かえ?」

「それでいいです。リフレッシュは出来るし、いい思い出になりますよ」

全然といえばそうじゃないけど、楽しめればいい。

「吟には今日の内に言っておくのじゃ」

「ええ、明日のことは」

「違う。先ほど言っていたことじゃ」

多分、俺が吟ネエに学校のことを言わなければならないということか。

「ええ、先輩も一緒に言ってくれるんじゃないんですか?」

「そなたが一人でやるからこそ効果が高い」

龍先輩は、譲らないみたいだ。
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