学園(序)
「もぐ、丞はふか」

食べながらもこちらに気付いたようだ。

手にはスーパーの袋を提げており、近くにあるスーパーにいった帰りだろう。

「今日は何やってたんだよ!」

「街中を横行闊歩アル」

「いや、それ自分でいう事じゃないだろ」

簡単に想像は付くんだけど、俺が言いたいのはそこじゃない。

覚悟を決めて、前へ進む。

「今日は平日じゃないか!学校に来なくちゃ駄目だろ!」

「今日は眠くて授業に集中できないアル。それに起きたら街中を近場探索したかったと思ってたアルよ」

「そんなの休みの日にすればいいじゃないか!明日だって出来ただろ!」

「何を意気込んでいるアルか。私の勝手アル」

「幼稚園児じゃないんだからさ、いい加減、ちょっとは大人になろうよ」

「そこまで気にするなアルよ。ちゃんと卒業するために手段は考えてあるアル」

裏で何をするかはわからないけど、危険すぎる。

「そんな不安定な方法じゃなくてさ。最後の一年なんだから、毎日通おうよ」

「えーアル」

まったく話を聞く気がないのか、トウモロコシを食べだした。

「吟ネエが心配なんだよ。なあ、日の当たる生活しようよ」

「モグモグ、ちゃんと日には当たってるアル」

「俺が言いたいのはさ」

うざったいのか、吟ネエがどんどん早足になっていく。

それでも、俺は止める気はない。

殴られたっていい。

それで、吟ネエがまともな生活をしてくれるなら安い。

「な、来週からちゃんと一緒に行こう。俺、もっと一緒に吟ネエと学園ライフを送りたいんだ」

「そんなの家でも楽しむことは出来るアル」

走り出そうとしたところで、俺は吟ネエの前に出て先手を取った。

「吟ネエは何とも思ってないかもしれないけど、心配してる奴の気持ちも考えてやってくれよ!」

吟ネエが不意に足を止めたせいで、少しだけ体勢が崩れた。
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